この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
母親が亡くなり、相続人は依頼者と依頼者の姉と弟。母は自筆の遺言書を残しており、その内容は、遺産は全て長女と次男(依頼者の姉と弟)に相続させるというものだった。依頼者本人が相手方(姉と弟)と話しても、相手方の態度がはっきりしなかったとのことで、当弁護士事務所が依頼を受けた。
解決への流れ
(1)依頼者は、母親が、遺言書の中で、自分の相続分について何も触れていないことに非常にショックを受けていたが、さりとて紛争は好まず、なるべく穏便な解決を希望していた。(2)また、遺言書が有効かどうかを判断するため、母親が遺言書を書いた時期の母親の状態(認知症でなかったか)や母親がそのような遺言書を残す動機はあったのかを確認した。検討した結果、訴訟に至った場合は、遺言書は有効と判断される可能性が高いと判断した。(3)以上を踏まえて、弁護士が依頼者の代理人として相手方と連絡をとり、交渉した。相手方には弁護士がついていなかったので、主な遺産である不動産の査定書は当事務所で用意することとした。当事務所が懇意にしている不動産業者に依頼をした。【結果】遺留分と法定相続分の中間の金額を依頼者が受け取ることで遺産分割協議が成立した。依頼者は、早期に解決できたこと、依頼者の気持ちに配慮した結果となったことに喜んでいた。事案と交渉経過の詳細はこちらhttps://www.kamiookalaw.com/category/2926
今回の事例は、遺言書は有効である可能性が高く、それなのに遺言書の無効を当方が強硬に主張したら、かえって交渉は難航したかもしれない。依頼者の気持ちを第一に考えるとともに、相手の立場も考慮した金額を提案したことが早期解決につながったと思われる。弁護士にとっては難しい交渉の案件ではなかったが、依頼者に弁護士がついたことで相手方の態度も変わり、早期解決に至ったという面もある。