この事例の依頼主
30代 男性
協議離婚を求められました。突然,妻が家を出ていき,1歳の娘を連れていってしまいました。子に会えないのはすごくつらいですが,仕事やローンのことを考えると親権を取得すると子に負担がいってしまいますし,女の子なので,父親ですと何かと苦労を掛けてしまいそうなので親権は諦めます。ですが,その分きちんと面会交流をしたいです。妻は,半年に1度くらいの面会であれば認めてもよいと言っていますが,それでは少なすぎます。また,妻が実家に戻ったときでも,面会は行いたいです。職場では離婚している人が多く,結局,面会は実現していないといわれています。面会がなされない場合は,間接強制という方法があると聞きました。面会がなされないときには,間接強制ができるようにしてもらいたいです。婚姻費用については,給料に見合った金額なら支払います。養育費も給料に見合った金額なら支払います。慰謝料については,妻はDV(ドメスティックバイオレンス)があったと主張しています。しかし,DVなんてしていません。妻はささいなことで警察を呼んで,非常に過大にDVを主張したことがあります。そのときは,警察の方からみてもDVとは言えないのではないかということで終わったと思います。また,妻は,用意周到に離婚を計画し,録音をしていました。普段であれば妻の方が夫の私に対してDVをしているのですが,録音しているときは,おとなしくしており,その録音も裁判所に提出されています。慰謝料を払わなければならないのでしょうか。
面会交流は,2か月に1回の頻度で面会できることになりました。間接強制はできませんでしたが,納得のいく内容になったと思います。先日,初回の面会が実現して,約1年6か月ぶりに娘に会うことができました。婚姻費用も養育費も給料に見合った金額になったと思います。慰謝料は,ゼロ円でしたが,解決金を払うことにしました。娘の扶養のことも考えるといくらか支払って娘の養育にあててほしいと思ったのと,早期の解決のために払って欲しいといわれ,払うことにしました。調停が1年以上続き,大変だったというのが,正直な感想です。清水先生には,我慢強く対応して頂き,感謝しています。全てに納得しているわけではありませんが,自分だけで調停をしていたら,調停が不成立になって,今頃,離婚訴訟をしていたと思います。
面会の条件については,ある程度,夫側の提案が受け入れられました。もっとも,妻側が面会を継続的に行わないおそれがあるということでしたので,間接強制ができないか検討し,主張していました。娘さんが幼児期にあり,また,DVが妻側から主張されている関係で,第三者機関を通じて面会を実施せざるを得ませんでした。その場合,第三者機関の行為が加わらないと面会が実現しませんので,間接強制を調停調書に記載することができませんでした。婚姻費用については,算定表を参考に双方納得がいく金額になりました。養育費については,給与明細の額面に過剰な残業による残業代が含まれていました。ほとんど違法ともいえるような状態でしたので,その残業代は,働き方改革の影響や会社の方針の変更により,縮小傾向にあるから,額面よりも低い金額で算定して欲しいと主張し,数か月かけて認めてもらいました。そこで,終わるかと思ったのですが,調停の期間中に,実際に残業がどんどん減っていき,額面金額も下がっていきました。そのため,一度決まりかけた金額をさらに減額するように主張しました。結局は,下がった給与を考慮した額になりましたが,夫側の依頼者の方が譲歩してくださった面もありました。慰謝料については,DVがなかったのに大げさに主張するのはひどいと反論していました。DVは,身体に対するものだけではなく,精神的な態様も含まれます。それでも,DVがあったとはいえない事件でした。もっとも,早期の解決のため,娘さんの養育のため,弁護士がつく前の交渉の経緯からある程度払ってもよいとのことでしたので,ある程度のお支払いをしました。調停が長期に及んだので大変でしたが,訴訟にならずによかったと思います。