この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
依頼者のお子さん(3歳)が横断歩行中に,右折車にひかれて死亡。加害者は連れていた伯母(お母さんの姉)の不注意が大きいとか,運転席からはこどもの姿が見えず,加害者に責任はないと主張。3歳の実子を亡くした母親は,事故当時連れていた姉を恨むようになり,姉(伯母)はどうしようもない状況に追い込まれました。父親は,もしこのまま加害者側の保険会社が主張するように,伯母にも過失があるということを認めてしまえば,妻と実姉(伯母)との関係は取り返しのつかない状態となり,家族関係も崩壊しかねないと悲痛な思いを打ち明けました。
解決への流れ
この事件は,被害者側(連れていた伯母)には過失がなく,全面的に加害者側に責任があるとして訴訟で争うことになりました。もし,こちらの主張が認められなければ,父親の悲痛な思いはまさしく現実のものになってしまいます。訴訟では,事故状況を詳細に分析しました。死亡した子の身長と運転席から見える状況をシミュレートしてみました。その結果,運転席からは十分横断中だった子の姿は見えることがわかりました。連れていた伯母の過失も裁判所は認めませんでした。当方の全面勝訴でした。
この事件で,事故状況は,いろんな角度から分析してみることが必要だとつくづく思い知らされました。これは単にこの事件だけではなく,あらゆる事件に共通に言えることではあるのですが,被害者の母親とその姉との間の深刻な問題を背景に,まさに背水の陣で臨んだ事件でした。