この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
①突然、会社から、「横領をしただろう。自宅待機していろ。」と言われた。②自宅待機の間、「休業手当だけ支払う。」と言われ、勝手に給料を下げられた。③半年経っても、何も連絡がないため、不安になり、当事務所に相談。③当事務所が、証拠収集をして、横領などなかったということを確認。 会社に対し、「横領の事実などない。いつまで待機すればよいのか。また、懲戒処分としての出勤停止命令ではなく、ただの自宅待機命令なのだから、待機期間中の給料を下げることは許されない。差額を支払え。」と通知。④会社から、給料の差額は振り込まれたが、横領の件については何ら謝罪することなく、「●日から前と同じように出勤してください。」との回答。⑤ご相談者は、会社の仕打ちによって精神疾患にかかっていたこともあり、「このような会社には出勤したくない。」と強くご希望。⑥そこで、当事務所が、会社に対し、「依頼人は、貴社の仕打ちにより精神疾患にかかっているため、診断書記載の期間は出勤せず療養する。」と通知。⑦会社から、「会社に非はない。出勤命令に従わないので、出勤命令後の給与は支払わないし、懲戒解雇とする。そのため、退職金も全額没収する。」と回答。⑧当事務所が、「横領の事実がないことは確認済みである。犯罪者扱いをして自宅待機させ、給与も下げ、半年間放置したことにより病んでいる。会社の責任であるため、自宅療養することは当然の権利である。診断書の期間中は、給与を支払え。また、期間経過後は退職してもよいが、懲戒解雇ではなく、会社都合の普通解雇とせよ。退職金も満額支払え。」と主張し、交渉。
結果として、①自宅待機命令中に下げられた給与も取り返し、②自宅療養中の給与も支払わせ、③会社都合の普通解雇とさせて、退職金も満額支払わせることができました。 交渉によって得られた金額は、約850万円でした。
様々な法律によって労働者が保護されているとはいえ、まだまだブラック企業は多数存在します。 ブラック企業は、法に無知な従業員にウソをついて、会社の主張をのませようとします。 例えば、本件では、①自宅待機命令を出している間は、休業手当だけを支払えばよいから減額した、②出勤命令にしたがわず自宅療養しているのだから、ノーワークノーペイの原則により給与を支払う必要はない等というウソをついていました。 ①②のいずれについても、会社に責任がある場合は、全額支払う義務があります。 会社は、労働者と違い、人数もたくさんいますし、知識もたくさんあります。 こうした会社と対等に戦うには、法の専門家・交渉の専門家である弁護士を味方にすることが必要だと思います。