この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
30代の女性会社員。借金が膨れたきっかけは,街でキャッチセールスにつかまり,総額50万円の化粧品をローンを組んで購入したことでした。支払いが数回続くと,次の商品を勧められるのがこの手の営業の常ですが,なかなか断れなかったようです。ほかにも,取引先の担当者から頼まれて断われず商品を購入する際,数回,ローンを組みました。しかし,会社勤めをしていた間は,問題なく返済することができたようです。体調を崩して退職。退職金で一部ローンの返済をしましたが,再就職に時間がかかっている間に、生活費や借金返済のためにキャッシングを利用し,借金が増えました。負債総額約500万円。
解決への流れ
受任して受任通知を発送。債務者が債務処理を弁護士に委任し,弁護士から受任した旨を通知したときは,貸金業者は,電話・電報・ファクス・直接訪問により弁済を要求することが禁じられています(貸金業法21条1項9号)。この規定により,取り立てが止みました。ご本人は体調に不安があり失業していたので返済は困難と判断し,協議のうえ破産を選択しました。破産申立までにしばらく時間がかかりましたが,債権者からの督促が止まっていたので気持ちが落ち着き,就職探しに専念できました。破産申立の時点では新たな職場に勤務していました。同時廃止,免責許可。
借金が始まる原因に,訪問販売,キャッチセールス,アポイントメントセールスなどに引っ掛かった事例があります。クーリングオフや,取消・無効の主張のほか,いくらか費用が掛かっても中途解約する方法などがありますから,早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。キャッチセールスなどに引っ掛かった話は,被害者としての面に目が向き易いのですが,破産申し立ての際には,無用の浪費によって借金を増やしたのだから免責不許可事由に該当するのではないかという問題を生じることもあります。お化粧品に50万円を注ぎ込むことが浪費に該当するのかどうか,すぐには判断しかねますが,注意が必要です。病気や失業によって収入が途絶えた事案では,一定期間返済を続ける個人再生を選択することができるのかという問題を生じますし,破産して免責を得ても,生活するためまたすぐに借金が始まるのではないかという不安も生じるので,この点の手当を考える必要を生じます。ご相談下さい。