この事例の依頼主
男性
相談前の状況
父が亡くなったが、父が住んでいた土地は交通の便の悪い所にある。建物は古く、父は亡くなる前に長い間施設に入っていたので管理されていなかった建物は荒れ果てており解体するしかない。他にも使っていない田畑がある。どれも管理費用ばかりかかるためタダでも誰かに譲りたいが引き取り手はいない。父には預貯金も無かったので相続を放棄したい。
解決への流れ
相続放棄をしても、次の相続人が相続財産の管理を始めるまで、相続を放棄した者は財産の管理を継続しなければならないと民法で定められています。そのため、相続放棄をしたからと言って必ずしも負担がなくなるとは限ません。それでも放棄したいということなので相続放棄手続をしました。本件では相続放棄をした旨を父の兄弟姉妹に伝えたところ、そのうちの一人が相続をしたため相談者に負担は残りませんでした。
2023年4月以降は、法改正により相続財産を現に占有している者は、相続放棄をしても管理義務が残ると定められましたが、それ以前は誰が管理しなければならないのか曖昧でしたので不要な不動産のために相続放棄をしても負担が残る場合がありました。相続人が誰もない不動産は最終的には国のものになりますが、そのためには相続財産清算人を申し立てなければいけませんが申立てをするには費用がかかります。法改正後に同居していない相続人が相続放棄をして管理義務がなくなった場合、法改正前に比べてトラブルに巻き込まれるリスクは減りました。しかし、どのような事態が発生するか分からないので相続財産清算人がつくまで完全に安心はできません。