この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
通勤途中に交通事故に遭った被害者が、身体傷害についてはすぐに労災認定がおりましたが、職場復帰後、車に乗ると気分が悪くなる、大きな音を聞くと意識が遠のいたり、怪我の治療中に気分が悪くなるなど、精神的な不調をきたし、業務に支障をきたすようになりました。その点につき心療内科を受診したところ、医師に事故が原因でPTSDに罹患したと診断されました。事故前にはそのような症状はなかったため、この点についても労災申請をおこないましたが、非該当とされたため、相談に来られました。
解決への流れ
本件事故は、被害者が信号停車中に、雨でスリップした対向車がいわば空を飛ぶような形で被害車両に突っ込んで来たという激しい事故でした。つぶれた車内に閉じ込められた被害者を、レスキュー隊が車をこじ開けて救出しました。このような経緯から、被害者はPTSDの診断基準に当てはまると考え、労災認定を求めて審査請求(不服申立の手続)を行ったところ、労災認定を得ることができました。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、医師においても診断基準の正確な理解が難しい疾患の一つです。審査請求の意見聴取手続において、本件はPTSDの診断基準を十分充たすと意見陳述をおこないました。幸い審査会より、PTSDの専門家の医師を受診するように言われ、同医師によってもPTSDとの診断を得ることができたため、労災認定を得ることができました。