犯罪・刑事事件の解決事例
#人事・労務

メンタルヘルス疾患により休職していた従業員が、休職期間満了により退職後に、パワーハラスメントで罹患したので解雇は無効として労働審判を提起された事案

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早津 花代 弁護士が解決
所属事務所法律事務所ブルーム
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

復職支援プログラム中に体調不良によりプログラムの実施が困難であると会社が判断し、プログラムの実施を中断しました。しかし、従業員は復職を望んでいたため、その対応に反発していました。就業規則上は、会社の言い分が理論上は相当であったものの、従業員の言い分が全く取るに足らないという理屈でないため、復帰意欲に配慮することが後々のリスク回避の見地からも重要になると考え、当職はプログラムを再度実施する方向のアドバイスをしました。結局、従業員は体調が回復せずプログラムの話し合いに参加できないまま休職期間満了による解雇に至りました。

解決への流れ

元従業員はパワーハラスメントにより罹患したものであり解雇は無効であるとして地位確認請求の労働審判が提起してきました。休職期間の解釈については、依頼会社は元従業員に有利に運用しましたがので、審判では、その点については主張してきませんでした。専ら、上司のパワーハラスメントが主張されました。その名ざしされた上司との打ち合わせでは、相手方の主張事実について、打ち合わせを重ねて細かく事実確認し、関連する書面が残っていればそれを全て証拠として提出しました。特に事実関係については力を入れ、事実のとらえ方について別方向でのとらえ方をされないように詳細な事実を確認し、主張しました。結果、労働審判では元従業員の主張には理由がないということで審判は終了しました。審判終了後は訴訟提起はされずに終了しました。

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早津 花代 弁護士からのコメント

従業員のメンタルヘルス疾患による休職は増え続けています。会社に従業員のメンタルヘルス疾患への気づきが要求される時代です。裁判でも、会社側にはこれまでより多くの義務を課す傾向にあります。解雇を巡る訴訟が提起されたときの会社側の負担は非常に大きいものです。訴訟費用というだけでなく、訴訟で名指しされた上司達には大きな心の負担がかかります。会社にとって重要な人的資源の損失は大きいのです。従業員の解雇をめぐる問題というのは、本当のところは感情面の問題に尽きるところを、弁護士に相談した結果弁護士が法的に主張できるように事実を構成しなおしたものであることが多々あります。労働問題は予防法務として弁護士の関与が非常に重要になります。休職前、休職中、復帰プログラム、といったそれぞれの場面で、最大限コンプライアンスに配慮しなければ、後の訴訟では非常に苦しい立場に追われます。本質は何かという視点をもち予防法務に臨んでいます。訴えが提起された場合には、理不尽な訴訟結果を回避するため、打合せを重ね主体的に事実関係を把握するようにしています。