この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
当社は数百名の従業員を抱えるヘルスケア関係の企業です。ある従業員が取引先からの入金をピンハネしていることが分かりました。当社ではこれまでこのようなことが起こったことはありませんでした。当社としてはいち早くこの従業員を懲戒解雇しなければなりませんが、どのように進めたらよいか分からず、事件が発覚して直ちに顧問弁護士である大木先生にご相談しました。
解決への流れ
事実確認、証拠収集のうえ、問題の従業員が取引先からの入金をピンハネしていることが認定されました。当該従業員をヒアリングのうえ、懲戒解雇手続を進めました。悪質であることから、解雇予告除外認定を経たうえ、即日解雇しました。
懲戒解雇を行わなければならないような事案においては、まず、事実確認、証拠収集のうえ、懲戒解雇事由が認められるかを詰めなければなりません。そのうえで、当該事案が懲戒解雇が相当なほど重大な事案かを詰めるとともに、社内で定められた手続に従い、問題の従業員に対するヒアリングなどを行う必要があります。そして、懲戒解雇事由が認められ、懲戒解雇が相当なほど重大な事案である場合には、解雇予告手当を支払わずに、即時解雇することも検討すべきです。そのためには、解雇予告手当除外認定手続を経る必要があります。これは労働基準法上の手続に関する規律ですので、労働契約法上、懲戒解雇が有効と認められるかとは別問題となります。このように、懲戒解雇にあたっては、労働契約法及び労働基準法の両面から詰める必要があります。万一、貴社が違法無効な懲戒解雇を行ったとなりますと、他の従業員への影響も大きいため、万全に詰めたうえで懲戒解雇を行う必要があります。