この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
マンション賃貸を営む不動産会社さんから家賃を滞納している賃借人(60歳代男性)に退去してもらいたいとの相談を受けました。その住人はこれまでもう少ししたら仕事でまとまった収入が得られると言っては支払いを先延ばにし、直近分を含め3か月分の家賃を滞納している状況でした。また、ちょっとした近隣迷惑も起こしていました。そこで、相談者様としては滞納分の清算ではなく、あくまで部屋の明渡しを求めるという意向でした。その意向を踏まえて、とりあえずその住人と交渉することになりました。
解決への流れ
住人の対応はこれまでと変わらず、もう少し待って欲しい、入金があれば滞納分はまとめて必ず支払うからと繰り返すだけでした。あてにしているその仕事の具体的な内容を訊いても収益が確実ではなく、時期も不明確であったため、交渉を打ち切り、訴訟提起を行いました。第1回口頭弁論にその住人が被告として出頭してきました。そしてもう少し待って欲しい、手に職なく生活するのも大変である、引っ越し費用、転居費用もない状態に陥っていると哀願してきました。裁判所から明渡しの期限を少し先延ばしする和解の意向を問われましたが、依頼会社様の強い意向により、これ以上猶予を与える必要もないと判断し、判決を取得することにしました。そして、判決確定後、その住人と明渡しに向けて交渉しようとしていた矢先、その住人が自分で部屋を出て行ってしまったとの報告を依頼会社様から受けました。
賃借人の家賃滞納が続くと、それだけ賃貸人の方の損失が膨らんでいくことになりますので、具体的な事情にもよりますが、誠意ある対応をしない賃借人に対しては交渉を打ち切り、法的手続きを検討すべきです。もちろん賃貸借契約の解除は信頼関係の破壊がないと認められないのですが、訴訟提起し、口頭弁論が開かれる間にさらに滞納期間が加算されることになるので、その他具体的な状況にもよりますが、滞納分が2、3か月あれば、訴訟に踏み切って問題ないです。そして、訴訟提起することで、手続を利用して、また判決取得後に交渉することで、あるいは本件のように賃借人自らの退去により、明渡しの実現が見込まれます。