この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
認知症を発症しており施設に入所していた依頼者の父が亡くなったことにより相続が開始したところ,父の近隣に住む妹から説明を受けた父名義の預貯金残高があまりにも少なかったため,銀行から預貯金の取引履歴を取得したところ,不自然な預貯金の引出が多数あるとのことで,相談に来られました。
解決への流れ
介護認定のための調査資料を市から取り付けたところ,「金銭の管理困難」,「金銭管理は妹が行っており,本人は把握していない」等の記載がなされていたため,妹側に遺産分割において無断出金を含める形での解決を求めましたが,妹側が無断出金を認めませんでした。そのため,無断出金分について,不法行為ないし不当利得を理由として訴訟提起したところ,当方の求める解決案での解決に応じるとの申出があり,訴訟外にて解決するに至りました。
被相続人と離れて生活している場合には,被相続人の生前の財産管理の状況の把握は通常困難を極めます。今回は,情報開示請求により取得した介護認定のための調査資料に,被相続人の財産の管理状況や認知状況の記載があったため,相手方も訴訟では不利な結果になると思い,自らの主張を断念したものと思われます。