この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
問題ある従業員を辞めさせたいとして、過去の事例などもあげて、解雇処分にしたいとのことでした。
解決への流れ
解雇にしても、懲戒としての出勤停止(停職)にしても、これを適切に行うには相当な状況が必要になります。結局、退職を勧奨して、合意により雇用契約を終了しました。
年齢・性別 非公開
問題ある従業員を辞めさせたいとして、過去の事例などもあげて、解雇処分にしたいとのことでした。
解雇にしても、懲戒としての出勤停止(停職)にしても、これを適切に行うには相当な状況が必要になります。結局、退職を勧奨して、合意により雇用契約を終了しました。
解雇は、懲戒処分の中では最も重い処分であり、大きく、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇という分類になります。適法に解雇処分を行うには、就業規則の根拠と懲戒の対象となる事実が必要になります。過去にあまり懲戒処分をしたことのない企業では勘違いされることも多いのですが、単に規則上の根拠と事実を指摘すれば適法に解雇処分を下せるというものではなく、解雇処分が相当といえるだけの状況が必要です。例えば、証拠により立証ができる横領や暴力行為など刑事処分の対象となる場合、過去に何度も、注意、戒告、減給などの処分をしてきたが改善されない場合、部署を異動させるなどの処置をとっても改善されない場合など、解雇が最後の手段といえるような事情が必要です。一方で、会社としても、その従業員に辞めていただかなければならない状況はあるため、その場合は、社会的に相当な範囲で退職を勧奨していくことになります。また解雇まで至らない出勤停止(停職)処分についても、事前に注意、戒告などなく、これを行うことは、労働審判などで無効と判断されるリスクがあります。いずれにしても、懲戒となる事実と処分の内容が相当とされる範囲であるかを慎重に判断する必要があります。また懲戒に至るにしても、処分を下すまでに必ず事情を聴取し、弁解の機会を与えるといった手続面での手当も必要です。企業では、どうしても処分の必要性が前面に出てしまうため、処分内容と手続の適正に対する判断が甘くなってしまいがちであり、労働環境をよくしていくために長期的な視点から制度を見直す必要があります。