11982.jpg
父の土地を継いだ長男が妻に追い出された! このままでは土地を奪われる? 姉弟は「相続のやり直し」希望
2024年07月10日 09時49分
#相続 #遺産

親の遺産をきょうだいで分けたものの、こんなはずでは…という事態におちいることも少なくありません。弁護士ドットコムにも「相続のやり直しをしたい」という相談が寄せられています。

相談者は2年前に父が亡くなり、相談者の女性と弟2人で相続しました。長男にあたる弟は、すでに父の土地に家を建てていたことから、そのまま土地を相続したそうです。女性と次男にあたる弟は、納得はいかなかったものの、いさかいを避けるため、500万円ずつ受け取り、手続きを終えました。

ところがその後、長男が妻と不仲になり、家から追い出されてしまったというのです。妻は次男が訪ねても家に入れてくれず、そこに住み続けてるとのことです。女性は「このままでは、長男が相続した土地が妻のものになってしまうのではないか」と心配しており、「長男が住んでいないのなら、相続をやり直したい」と考えているそうです。

果たしてきょうだいは、父の残した土地を取り戻せるのでしょうか。相続問題に詳しい野中辰哲弁護士に聞きました。

親の遺産をきょうだいで分けたものの、こんなはずでは…という事態におちいることも少なくありません。弁護士ドットコムにも「相続のやり直しをしたい」という相談が寄せられています。

相談者は2年前に父が亡くなり、相談者の女性と弟2人で相続しました。長男にあたる弟は、すでに父の土地に家を建てていたことから、そのまま土地を相続したそうです。女性と次男にあたる弟は、納得はいかなかったものの、いさかいを避けるため、500万円ずつ受け取り、手続きを終えました。

ところがその後、長男が妻と不仲になり、家から追い出されてしまったというのです。妻は次男が訪ねても家に入れてくれず、そこに住み続けてるとのことです。女性は「このままでは、長男が相続した土地が妻のものになってしまうのではないか」と心配しており、「長男が住んでいないのなら、相続をやり直したい」と考えているそうです。

果たしてきょうだいは、父の残した土地を取り戻せるのでしょうか。相続問題に詳しい野中辰哲弁護士に聞きました。

●相続のやり直しは可能だが…

——このきょうだいのように、相続に後悔が残った場合、あらためてやり直しをすることはできますか。

相続人全員が、すでに行った遺産分割協議を合意解除するのであれば、改めて遺産分割協議をやり直すことはできます。

ただし、全相続人で遺産分割協議を合意解除した場合、当初の遺産分割協議で取得した者から新たに取得した者への贈与として扱われるため、贈与税が発生する可能性があります。

——長男が相続した亡父の土地に、このまま妻が住み続けた場合、妻の所有になるのでしょうか。また、長男と妻が離婚をした場合は、財産分与の対象になりますか。

配偶者が死亡し、かつ、特に遺言書がない場合は、もう一方の配偶者に法定相続分である2分の1の割合で遺産の承継が認められています。

本件でも、長男が、妻と離婚せずに死亡した場合は、法定相続分での承継が認められ、遺産分割協議の結果によっては、亡父の土地を承継する可能性があります。

後半の質問についてですが、婚姻後に、夫婦の一方に相続によって取得した財産がある場合、その財産は特有財産となり、離婚の際の財産分与の対象外となります。

したがって、本件でも、長男が相続によって取得した亡父の土地は、特有財産に該当し、仮に妻と離婚したとしても、財産分与の対象外となります。

●「長男の妻に土地を渡さないため」にできることは?

——現在、直接の関係者ではない姉弟が亡父の土地を「長男の妻に渡さない」ためには何かできることはありますか。

きょうだいの関係が良好であるならば、長男と相談のうえ、遺言書を作成してもらうという方法が考えられます。

遺言書にて、長男が所有している亡父の土地について、姉または弟に相続させる旨の遺言書を作成してもらうという方法が考えられます。ただし、この方法だと、妻に遺留分が残るので、注意が必要です。

または、長男と姉または弟との間で、亡父の土地について、贈与契約を締結することも考えられます。ただし、この方法の場合、贈与税が発生する可能性があるので、注意する必要があります。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る