15198.jpg
連休中の新幹線で「2時間立ちっぱなし」 もし体調を崩したら鉄道会社を訴えられる?
2015年05月03日 10時25分

ゴールデンウィーク期間中、帰省や旅行で、新幹線を利用する人も多いだろう。早めに手を打って指定席を予約できた人は快適だろうが、出遅れた人は、限られた自由席を求めて、当日の争奪戦にかけるほかない。せっかくの休みも疲れがたまることになりそうだ。

指定席車輌の通路にも乗客があふれるのが、この時期の新幹線だ。ネットには「疲れていた上に2時間も立ちっぱなしでキツかった」「確実に座れるようホームで長時間並ぶか、立つことを前提に目的地まで早く着くことを選ぶか、の究極の選択」「席に座れても、立ったままでも同じ金額なのはおかしいのでは?」などの声がみられる。

短時間の移動ならともかく、何時間もかかる新幹線で立ち続けることは、身体的な負担が大きい。「安くない乗車料金を払っているのに・・・」と不満に思う人もいるだろう。では、もし新幹線に立ちっぱなしで乗って体調を崩した場合、鉄道会社の責任を問うことはできるのか? 岡田一毅弁護士に聞いた。

ゴールデンウィーク期間中、帰省や旅行で、新幹線を利用する人も多いだろう。早めに手を打って指定席を予約できた人は快適だろうが、出遅れた人は、限られた自由席を求めて、当日の争奪戦にかけるほかない。せっかくの休みも疲れがたまることになりそうだ。

指定席車輌の通路にも乗客があふれるのが、この時期の新幹線だ。ネットには「疲れていた上に2時間も立ちっぱなしでキツかった」「確実に座れるようホームで長時間並ぶか、立つことを前提に目的地まで早く着くことを選ぶか、の究極の選択」「席に座れても、立ったままでも同じ金額なのはおかしいのでは?」などの声がみられる。

短時間の移動ならともかく、何時間もかかる新幹線で立ち続けることは、身体的な負担が大きい。「安くない乗車料金を払っているのに・・・」と不満に思う人もいるだろう。では、もし新幹線に立ちっぱなしで乗って体調を崩した場合、鉄道会社の責任を問うことはできるのか? 岡田一毅弁護士に聞いた。

●「定員オーバー」で運行していいの?

「この時期、新幹線の混雑具合を示す『乗車率』という言葉を聞くかと思います。乗車率100%とは、つまり満席のこと。席に座れず、通路やデッキに立っている人がいる状況は、乗車率が100%を超えたことを意味します。年によっては、200%に迫ることもあります」

乗車率200%超となれば、定員の2倍が乗車した状態だ・・・。そもそも、そんな状態で新幹線を運行しても問題ないのだろうか。

「鉄道車両の定員は、あくまで快適に乗車できる基準の『サービス定員』と呼ばれるものです。乗車率100%を超えて運行をしても、法律違反にはなりません。

いっぽう、車や飛行機、船などの定員は『それ以上乗ったら危険』という意味の『保安定員』ですから、超過することは法律で禁止されています」

それでは、鉄道の場合、何人詰め込んでも許されるのだろうか。

「いいえ、限度はあります。鉄道会社と乗客の間には『旅客運送契約』があり、鉄道会社には乗客を安全に輸送する注意義務があると考えられます」

●「鉄道会社の責任を問うのは難しい」

どんな場合に、「注意義務違反」となるのか?

「あくまで理論上の話ですが、考えられるのは次のようなケースでしょうか。すし詰めの車内で異常に温度が上がり、乗客が熱中症になるような状況だった。鉄道会社がそんな状況を知りながら、それでもあえて客を乗車させたーー。

こんな場合には『注意義務違反』にあたる可能性があります。そんな状態であったため、乗客が体調を崩したら、鉄道会社は損害賠償責任を負う可能性が、理論的にはあり得ます」

その場合、請求は簡単に認められるのだろうか。

「その程度で鉄道会社の責任を問うのは、簡単ではありません。そもそも、体調を崩したといっても、原因は様々です。体調を崩した原因がほかに考えられる場合、車内状況と相当因果関係があるとはいえないので、損害賠償は認められません。いろいろな手間も考えると、実際に請求することは、なかなか難しいといえるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る