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換気扇の下で吸う「隣人のタバコ」臭いで体調不良に 「せめて慰謝料をもらえないのでしょうか?」
2024年12月18日 10時59分
#タバコ #禁煙 #たばこ事業法 #日本たばこ産業株式会社法

隣人のタバコの臭いが部屋に入ってきてきついが、管理会社が動いてくれませんーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。

マンションの隣人のタバコに頭を悩ませているという相談者。隣人は室内のキッチン換気扇の下で喫煙しているようで、ダクトから臭いが漏れ出ているとのことです。

相談者がクレームを入れると、隣人は「管理会社が換気扇下での喫煙を容認している」と言って、喫煙をやめてくれません。また、管理会社は仕切りパネルなどを使い、臭いの対策をしてくれていますが、臭いは治まりません。

隣人の喫煙自体については「制御する権限がない」と言って対応してくれません。

しかし隣人のタバコにより、相談者の家の洗濯物に臭いがついたり、部屋に臭いが入ってくるだけでなく、タバコの臭いや換気ができない環境から相談者の妻が体調を崩すなど不利益が出ています。

このような隣人、管理会社の対応には法的にどのような問題があるのでしょうか。また相談者は慰謝料を求めることはできるのでしょうか。岡本光樹弁護士に聞きました。

隣人のタバコの臭いが部屋に入ってきてきついが、管理会社が動いてくれませんーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。

マンションの隣人のタバコに頭を悩ませているという相談者。隣人は室内のキッチン換気扇の下で喫煙しているようで、ダクトから臭いが漏れ出ているとのことです。

相談者がクレームを入れると、隣人は「管理会社が換気扇下での喫煙を容認している」と言って、喫煙をやめてくれません。また、管理会社は仕切りパネルなどを使い、臭いの対策をしてくれていますが、臭いは治まりません。

隣人の喫煙自体については「制御する権限がない」と言って対応してくれません。

しかし隣人のタバコにより、相談者の家の洗濯物に臭いがついたり、部屋に臭いが入ってくるだけでなく、タバコの臭いや換気ができない環境から相談者の妻が体調を崩すなど不利益が出ています。

このような隣人、管理会社の対応には法的にどのような問題があるのでしょうか。また相談者は慰謝料を求めることはできるのでしょうか。岡本光樹弁護士に聞きました。

●喫煙を継続することに慰謝料の賠償を命じた裁判例も

画像タイトル 画像はイメージです(まー / PIXTA)

——隣人にタバコをやめさせるため、何らかの法的手段はありますでしょうか。

卒煙・禁煙を強制することはできませんが、喫煙を継続することが不法行為になるとして慰謝料の賠償を命じた裁判例があります(名古屋地判平成24.12.13)。判決文によれば、ベランダに限らず、「所有建物内」の喫煙にも制限が及ぶものと読めます。もっとも、約4か月半の喫煙について慰謝料5万円であり、十分な賠償額とは言えません。

私としては、民事訴訟(損害賠償請求)よりも、簡易裁判所での民事調停や、管理組合・管理会社も交えた話し合い等を通じて、当事者間で合意形成することをお勧めしています。

——どのような話し合いが有効なのでしょうか。

改正健康増進法第27条に「何人も、・・・喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。」との規定が設けられたことで、交渉・説得の一助になります。

この「配慮義務」に行政罰はありませんが、専有部分(居室)内にも及びます。つまり、自室内(換気扇下)喫煙だからといって許されるものではありません。

弁護士が、喫煙者に対して内容証明郵便を送付して交渉することもあります。

区分所有(分譲)マンションでは、総会で管理規約・使用細則を変更して、専有部分(居室)内の喫煙を明確に禁止するに至った例も複数報道されています。

●相手に損害賠償を請求できる?

——管理会社に対して、仕切りパネル以上の臭い防止対策を行うことを請求することはできるのでしょうか。

管理組合・管理会社に法的な請求は難しいと考えますが、トラブル防止のために、解決に向けて積極的に関与して頂きたいと思います。

——相談者は、賃借物件の場合に、例えば家主に対して賃料の減額請求などは可能でしょうか。

家主へ民法611条に基づく「使用及び収益をすることができなくなった部分の割合」に応じた賃料減額請求が一応考えられますが、その責任は、賃貸人よりも、発生源たる喫煙者が負うべきでしょう。

また仮に、喫煙により相談者が引越しを余儀なくされた場合には、煙の発生源の隣人に対し、引越し費用の損害賠償請求をすることは、論理的に成り立ちます。

ただ、相当因果関係の立証の難しさもあります。

——相手のタバコのにおいで体調を崩した場合、損害賠償を請求できるのでしょうか。

前述の名古屋地判のように、賠償請求できる可能性があります。もっとも、賠償額が低額であることや、因果関係の立証面などの難しさもあります。煙の到達の因果関係を認めず、棄却した裁判例もあります(一審横浜地判令和1.11.28、二審東京高判令和2.10.29)。

●問題の根本原因にはニコチンの依存症

——今回のような相談事例は多数寄せられています。

私自身も、この種の相談を非常にたくさん受け、不幸な状況を見てきました。

敷地内や全館が禁煙のマンション・アパートがもっと増えて、住宅の分煙化、住み分けが進んでほしいと思います。行政や保健所にもこの問題に関わって欲しいと思います。

そもそも、この問題の根本原因には、ニコチンの依存性があり、他者危害を及ぼしても喫煙を優先し継続するのは、依存性薬物ニコチンの「乱用」行動といえます。

税収のために依存性商品であるタバコの供給を国策にしてきた「たばこ事業法」と、政府(財務省)が日本たばこ産業株式会社(JT)の株式を三分の一超保有するとしている「日本たばこ産業株式会社法」を見直すべき時代に来ていると考えます。

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