新宿で下半身を露出したとして逮捕されたアイドルグループ「Aぇ!group」の草間リチャード敬太さんが、11月13日に公然わいせつの容疑で略式起訴されたとの報道がありました(TBS NEWS DIG、11月13日など)。
報道によると、草間さんは10月4日の早朝に、新宿区のビル出入り口付近で下半身を露出した疑いがもたれています。所属事務所の「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」は草間さんの活動休止を発表していました。
「略式起訴」とはどういう手続きなのでしょうか。
●略式起訴は「罰金刑」を科すための簡易な裁判手続き
「略式起訴」とは、略式手続(りゃくしきてつづき)という簡易な裁判手続きを検察官が裁判所に求めることです。
略式手続は、正式な裁判を開かず、書面審理だけで罰金や科料という刑罰を科すためのものです(刑事訴訟法461条〜)。
通常の刑事裁判は公開の法廷で行われますが、略式手続ではこれが省略されます。つまり、法廷で裁判は開かれず、罰金を納付すると手続きが終わります。
●略式起訴の要件とは?
略式起訴のためには、刑事訴訟法461条などにより、簡単にいうと以下の要件を満たす必要があります。
・罰金刑の上限が100万円以下であること
・被疑者が罪を認めていること
・被疑者が略式手続に同意していること
公然わいせつ罪(刑法174条)の法定刑は「6カ月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」であり、罰金刑の上限が100万円以下であるという要件を満たします。
草間さんが今回略式起訴されたということは、草間さんが事実を認めたうえで、略式手続に同意したということになります。
●略式命令が確定すれば「前科」となる
略式起訴がされた場合、裁判所が書面だけで審理をし、「略式命令」を下します。この略式命令は100万円以下の罰金か科料を下す内容となっています。
罰金刑であっても、刑の言渡しを受けたことには変わりないため、この略式命令による罰金刑の確定は前科となります。
今回の事案では、草間さんが逮捕されたものの、勾留請求(身柄拘束の延長)はされていないようですので、身柄はすでに解放されていると考えられます。そこで、今後は、裁判所から略式命令が郵送され、罰金を納付して刑事手続きは終了する流れが一般的です。
なお、最初略式手続に同意したが、やっぱり略式裁判ではなく、正式に刑事裁判をする、ということも可能です。 略式命令を受けた人は、命令の告知から14日以内に正式裁判を請求することができます(刑事訴訟法465条)。
●草間さんは今後どうなるのか?
罰金の納付をすれば刑事手続は終わります。したがって草間さんはこのまま生活していくことになります。芸能人ですので、事件の影響で出演などに支障がでる可能性はありますし、民事上、たとえばテレビ関係の企業などから損害賠償を請求されるなどの可能性はありますが、刑事手続については今後の手続きは特にありません。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)