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下請け社員の「過労自死」を認定、残業108時間 元請けのパワハラ疑惑も追及へ
2019年04月18日 17時13分

ホテルの厨房設備工事にかかわっていた都内の男性(当時52)が2016年5月に自殺したのは、長時間労働にともなう精神疾患が原因だったとして、渋谷労働基準監督署が労災認定していたことが4月18日にわかった。認定は3月25日付。

遺族の代理人が厚労省で記者会見を開き、明らかにした。

男性は、一次下請け企業の現場担当者で、元請け企業からの突き上げと、人員増などの対応を取らない自社との板挟みにあっていたとみられる。

代理人の川人博弁護士は、勤務先や元請け企業に対し、未払い残業代やパワハラの有無についても話し合う方針だと話した。

ホテルの厨房設備工事にかかわっていた都内の男性(当時52)が2016年5月に自殺したのは、長時間労働にともなう精神疾患が原因だったとして、渋谷労働基準監督署が労災認定していたことが4月18日にわかった。認定は3月25日付。

遺族の代理人が厚労省で記者会見を開き、明らかにした。

男性は、一次下請け企業の現場担当者で、元請け企業からの突き上げと、人員増などの対応を取らない自社との板挟みにあっていたとみられる。

代理人の川人博弁護士は、勤務先や元請け企業に対し、未払い残業代やパワハラの有無についても話し合う方針だと話した。

●労働時間、会社の申告と大きく食い違う

男性は、厨房設備の設置工事などを扱うタニコー(東京都品川区)に入社し、約26年勤務していた。

同社は、大手ゼネコン「鹿島建設」の一次下請けとして、旧・赤坂プリンスホテル跡地に開業したホテル「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」(2016年7月開業)の厨房工事を担当。男性が現場責任者だった。

納期に遅れが生じていたことから、会社側に「無理です」など助けを求めても、具体的なサポートを受けられなかったという。一方で、鹿島建設の担当者からのプレッシャーにさらされていた。

労基署は亡くなる前の4月ごろに男性がうつ病を発症したと判断。その直前1カ月の残業時間を108時間30分、2カ月前を98時間と認定した。

遺族側は、労災申請時にも記者会見を開いている。勤務先のタニコーはそのとき、取材に対し「長時間労働はなかったと考えている」とコメントしていた。

しかし、労災申請にあたって同社が申告した男性の賃金は、労基署の認定額より1日4000円ほど低かったという。遺族側は未払い残業代の支払いについて、今後会社と交渉する方針だ。

労災認定を受けて、タニコーは「弊社だけでは把握が難しかった部分(出先の労働時間)についても総合的に判断されたのだと思う。真摯に受け止めたい」とコメント。労働時間の把握に向けて、システムの強化などに努めているという。

●元請けからの突き上げ

遺族側は、元請けの鹿島建設から、厳しい突き上げがあったと主張していたが、今回の労災申請は、労働時間だけで認定がくだる案件だったため、労基署はパワハラの有無を判断しなかった。

遺族側は、報道陣に男性のLINEの内容を公開。亡くなった当日には、鹿島建設の担当者から「何でかってに空けてるの?何回もかけてんだから折り返せよ」という連絡が入っていた。

代理人提供

男性の営業日誌には「対策案を出すも罵倒されて却下」と鹿島建設の対応についての記述もあるという。

代理人の永田亮弁護士は、「業務のことなので、仕方がないと言えば、仕方がないのかもしれませんが、上からの強気な発言が記録としては残っている。板挟みの中でつらい思いをしたのだと思う」と話した。

遺族側は今後、パワハラがなかったかについても鹿島建設と話し合う予定で、「真相を究明したい」としている。

鹿島建設は、「引き続き、協力会社との協働による現場の就労環境の改善に取り組んでまいります」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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